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COVID-19患者に合併するムーコル症について

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的蔓延が続いています。最近インドから、COVID-19にムーコル症という真菌症(カビの病気)が合併している症例が多発している、という報道がありました。ムーコル症・・・聞きなれない言葉かもしれません。いったいどんな病気でしょうか。

ムーコル症とは、「ムーコル」と呼ばれる一群のカビ(真菌)によって引き起こされる感染症です。一口にムーコルと言っても実は様々な真菌を指していることに注意が必要です。このカビは普段は土壌や植物など、環境中に生息していて、健康な人に感染することはほぼありません。しかし一方で、体の抵抗力(免疫)が低下してしまった人には感染してしまうことがあります。感染がおこりやすい人として、糖尿病患者、骨髄移植患者、臓器移植患者、白血病などの血液のがんの患者などが代表的です。

ムーコルは体のいろいろなところに感染し病気を起こすことが知られています。今回COVID-19に合併して起こっているムーコル症は、鼻の奥に侵入する副鼻腔ムーコル症が多いようです。COVID-19自体、糖尿病の人が重症化しやすいのですが、COVID-19そのものによって体力が低下したり、ステロイド(デキサメサゾン)などを投与されたりすることにより、副鼻腔ムーコル症が起こりやすく、また進行しやすい病状になっていたものと考えられます。

ムーコル症の治療法は限られており、さらに一度発症すると非常に進行が速いため、亡くなる人も多い病気です。真菌医学研究センターはこれまでブラジルと20年以上にわたり共同研究を続けており、COVID-19とムーコル症を含めた真菌症との合併について現在調査を進行中です。

(2021.5.19掲載)